福岡県の北九州市には、同市の台所と呼ばれる商店街、旦過市場(たんがいちば)があります。
この旦過市場は2022年に2回も大火災が起きて、商店街のほぼ半分が焼失してしまいました。1年のうちに2回も大火災が起きること自体がレアすぎるわけですが、4月の火災からようやく復興していこうという8月にもう1回大火事が起きるというのは、ショックが大きすぎます。
そんな旦過市場のことが気になっていたので、3年後の2025年に現地を探訪してきました。
旦過市場の概要と2回の大火災について
旦過市場は、小倉駅や小倉城の近くにあって、立地的に見ても北九州市の台所と言われる理由がよく分かります。中々規模の大きい商店街で、一般の買い物客だけでなく飲食店の人などプロが仕入れに来るような店もあります。
マスコミの露出も多いようで、テレビや雑誌に頻繁に紹介されることもあって、観光地としても有名です。
そんな旦過市場で2022年4月、1回目の大火災が起きます。旦過市場の商店街アーケードの東側には新旦過横丁という飲み屋街があったそうですが、そこから出火。この時に42軒の店が焼失しました。2回目の大火災は、同年の8月。この大火事では45軒が焼失し、ここにあった福岡県最古の映画館「小倉昭和館」も焼失してしまったそうです。
日経クロステックの記事に、焼失エリアの地図がありました。そちらを引用します。

同じ記事に2回目の火災直後の写真がありました。まるで戦場です。

火災前の航空写真を見ると、赤く錆びたトタン屋根の建物が多く見えます。そんな建物が密集しているところでてんぷら油の失火があったそうで、そりゃ燃え広がりますよね・・・。
この大火災からほぼ3年が経った2025年、現地はどうなっているのでしょうか。
商店街の半分に今も残る爪痕
こちらが、旦過市場の入口です。
西側は川沿いに建物が並んでいて、向かいの東側にはアーケードに面していないところにも店が広がっています。そして、2回の火災が起きたのはその東側です。
こちらは南側の入口です。なので、向かって左は川沿い、右は焼失エリア側です。

この南側は火災を免れているので、昔の姿が今も残っています。
それでは、焼失エリアに近い北側の入口から入り直してみます。
左側の建物がなくなっているのは、このあたりが1回目の火災現場だからです。

今はもう更地になっていたり新しい建物があったりなので、3年のうちにここまで復興したということでしょう。更地のところもまだ何も建っていないだけで、いずれ建物ができて店になると思います。
こうして更地が残っているところがあったりするのは、土地の権利関係なんかで簡単ではないところもあるんでしょうね。

こうして見ると建物があっても、何となく左側(東側)が明るい(建物がなくて日差しが入ってくる)のが分かりますね。

このように全体に覆いがかぶせられているところも、結構あります。
隙間から覗いてみた感じでは、瓦礫があったり焼け跡があるわけではなく、更地になっているところがほとんどでした。

2回目の火災現場跡は広大な更地
商店街から東に延びる路地に入ってみます。
こちらは、新旦過横丁があったところ。

右側の空き地が気になるので、ゲートのところから見てみましょう。

ここに40軒以上の店があって、それが全部焼失してしまったんですね。。当時のニュースで街全体が燃え盛る映像を見ましたが、これだけ広いところが火事になったら、夜でも周りが明るくなるほどの炎になるのを実感しました。怖すぎる。
写真の向かって右は商店街のアーケードで、商店街から見ると覆いがかぶせられています。
神戸の震災被災地や大阪・十三の「しょんべん横丁」など、商店街が丸ごと焼けてしまった風景は他にも見たことがありますが、どれを見ても何とも言えない寂しさのような感情になります。
再びアーケードを歩くと、焼失エリアと隣り合わせなのに生き残っている店がありました。これはおそらく、火災前からの建物だと思います。ギリギリのところで難を逃れたんでしょうね。

こちらも生き残った店の横にあった小道です。
この奥は立入禁止になっていて真っ暗なので、この先は焼失エリアと思われます。
かつてはここから奥のエリアに通り抜ける道があったんでしょうね。
それにしても、この建物の天井に昭和を感じます。

火災を免れたかつての建物たちもまぁまぁ怖い
焼失エリアと隣り合わせのところには、火災前からある建物が残っています。
このエリアでも火事が出たら・・・と思うと怖くなる風景ではあります。でもこういう建物が密集してるところって、無数にありますよね。
東京の新宿ゴールデン街も似たような感じで、現地で店をやっている人が「この街は火事が一番怖い」と言っていたことを思い出しました。

ちょっと建物が傾いていたりで、別の意味でも怖いです。
先ほどの写真もそうですが、全部シャッターが閉まっていて使われていません。このあたりも更地にして再開発するものと思われます。

焼失エリアには復興の狼煙「旦過青空市場」が営業中
焼失エリアの中には、すでに復興の狼煙をあげているところもあります。
この旦過青空市場は火災で焼失した店舗が入居したり、旦過中央市場から移転してきた店などなどが入居しています。プレハブの建物なので、ここを仮店舗として営業したのちに正式に復興した店舗に再入居する流れかと思われます。

この青空市場を、ちょっと歩いてみましょう。

この風景、復興し始めた神戸の被災地や、宮城県の松島仮設住宅で見たことがあります。
プレハブではありますが店はしっかり営業していて、歩いている人の姿もありました。
まさに、復興の狼煙ですね。
ちなみに、この青空市場に隣接する場所に、元からあったのと同じ場所に小倉昭和館が再建されています。

こちらは、商店街にあった案内板です。
上が西側で火災の影響を受けていないところで、下が焼失エリアを含む東側です。
上はびっしりと現役の店が並んでいる一方で、下は消されている店も多数。復興半ばのリアルな現実を感じさせられます。

火災の影響を受けなかった西側のエリアは中々の珍風景
先ほどから商店街の西側は火災の影響を受けていないと述べてきました。
しかしこの西側も、実はなかなか怖いエリアです。
商店街の外から眺めると、その怖さが一目瞭然です。
こちらは、西側の川を渡る入口です。この橋を渡って商店街に入れるんですが・・・

見ての通り、西側の店は川の上にあるんです。
2009年と2010年には水害の被害を受けているそうですが、これだけ水面ギリギリだと浸水リスクが高いことが容易に想像できます。

反対側からも、見てみましょう。

日本広しといえども、この珍風景はなかなかありません。
「まるでベニス」という人もいるみたいですが、この状態を放置するのは危険です。
真下が水なので大火災にはなりにくいかもしれませんが、浸水したり水没するリスクはめっちゃ高いです。
大火災の前からこの「せり出し」を解消するための再開発計画があるそうです。しかしながらその再開発計画が進められると、安全度は増しますが、この珍風景は見納めになるんでしょうね。
総括
同じところ(しかも都会)で2回も大火災が起きるというのは、少なくとも私は聞いたことがありません。
それだけに現地には深い傷跡が3年後も残っていますが、その一方で復興の息吹を感じることもできました。北九州市に無くてはならない商店街だけに、一歩一歩着実に復興の道を歩んでほしいと思います。
神戸や東北の被災地で復興した街をたくさん見てきたので、旦過市場も必ず復興します。



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